山もりのババたち・書評


山もりのババたち

『小一教育技術』「今月の気になる本」(2003年10月号、小学館)


 山があって、川があって、イキのいい毎日を送れる村の生活誌ができた。薪の風呂。完熟ガキが隠し味の漬け物。丹精こめた庭も山の美しさにはかなわんと目を細めるじい。そんな「町のもん」がため息をつく世界を守り伝えるのは、自然に寄り添う暮らしのちからだ。

 著者がこの徳島県木頭村へ移住するきっかけとなったダム建設計画をめぐり、村は30年も苦しんだ。一段落ついた今でも、傷は残る。加えて医療問題に人口減少。だが本書には柚子の香が漂い、「はっはっは」と笑い声が響く。

 その主は、ババ(お婆)たちだ。畑の作物を食べるケモノを「山のモノ」と親しむババ。サルよけを作りながら、里におりてくるのは「実のなる木」が減ったからだとうなずくババ。ダイコン作りと同じ目線で村の将来を語るババ。「山もり」とは「山守」で「山盛り」。

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山もりのババたち

●『西日本新聞』(2003年4月20日)の「本と批評」(読書欄)


四国徳島の山奥の村・木頭村で、三十年間にわたってダム建設反対を叫び勝利したオババたちの、楽しくも頼もしい暮らしぶりを伝えたやあからの報告書。反対の原動力は自分たちの暮らしを守ること。自然に生きるパワフルな老女たちの声が行間から立ち上がり、読者の心を明るく元気づけてくれる。

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山もりのババたち

山もりのババたち

●女性の本の情報紙『Womann's EYE』「落合恵子・ブッククラブ」(2003年5月号、ミズ・クレヨンハウス)


 徳島県の小さなむらの「ババたち」は、「金はいらん、川を守りたい」とダム建設を拒絶。推進派の県を相手に、志を捨てず、ようやく建設完全中止を勝ち取った。ホッとしたのも束の間、建設は中止になっても、ダムにまつわる問題が次々に浮上。それでも「ババたち」は持ち前の知恵とパワーで、立ちはだかる壁を崩し、横たわる溝を超えていく。著者は、この村と、「ババたち」に魅せられて、都会から移り住んだひとり。本の前半ハ「ババたち」の活躍を活写する「アクション編」、後半では普段着の暮らし振りを丁寧に綴った「暮らし編」。はははと笑い、憤り、ひとりひとりが柔かく結ばれていく村の暮しの、なんとラジカルで美しいことか。真夜中本書を読んで、なんだかむしょうに嬉しくなってしまった。

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